慎みの心

 人間は少し幸せになると、もっと幸せになりたいと次々

に欲を起こします。

 そして幸せになればなるほど、欲は益々大きくなり、い

つまでもどこまでも満足をしません。

 それだけではありません。

 恵まれてくると自分中心の考え方になって、人を眼下に

見下すようになります。

 人のことはどうでもよい、自分さえよければそれでよい

という人間になってしまいます。

 貧しい時は清水のような心で、謙虚な思いやり深い人間

であったはずが、いつしかおごりや見栄をはって冷たい人

間に変っていきます。

 欲は強欲となり、やがて泥水となってしまいます。

 しかし、それは自分には見えません、他人から見ると決

していい気持のものではありません。

 高慢になって、何様のつもりかとひとりいい気分になって

います。

 だが、運命には法則があって、登りきったら落ちるより

他ありません。

 せっかく幸せに恵まれてもまっさかさまに落ちていく人

間模様を、私達はいつもテレビや雑誌で見せられています。

 人は幸せになればなるほど、慎みの心が必要なのではな

いでしょうか。

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