「文明の衝突」

 人間社会はたすけあいといいますが人をたすけることは大変難しいことです。

 悲しいことに人間は幸せになると心が高くなって薄情になり、自己執着心が強くなっていくからです。

 気の毒な人を見ても目をそむけるようになり冷たい心になっていきます。

 幸せの上にあぐらをかいて人を眼下に見下します。

 自分が幸せ過ぎて人はたすけられないのかもしれません。 

 人をたすけるためには何らかの犠牲をともなうものですから、驕り高ぶった自己執着心があっては人はたすけられないのではないでしょうか。

 生存競争がある以上、勝者敗者、勝ち組負け組ができることはしかたのないことかもしれません。

 しかし、人間として敗者を思いやる気持ちやたすける心がなかったらこの世は地獄と化してしまいます。

 文明は人を幸せにするはずのものでも、人間は幸せになると自分さえよければよいと思うようであれば、そんな文明は人が壊し、天が壊す時が必ず来るのではないでしょうか。

 勝者は今、テロや内部告発に怯えています。

 薄情には薄情で戦おうと、薄情と薄情の衝突が起きています。

 西欧文明もイスラム文明も全てはわれこそはと自分を誇る自己執着心が人間を薄情にしているのかもしれません。

 人間はいつも自分の心に起きる薄情をいましめて、人をたすける心を持たなかったら、いかなる文明も衝突し続けるのではないでしょうか。